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from まいうー!食いしん坊のブログ・・・ABC
本日のテーマ⇒【 謎の転校生 2 】
【 前回までのあらすじ 】
【 謎の転校生 】が僕の中学校にやってきます。
彼は高松市という、文化経済の中心地からやってきました。
声楽家の様な声に、学校中がビックリ!
中学校は初めて、混声三部に挑戦、ついにNコン県大会の壁を突破。
僕は、四国大会の厚い壁に「 愕然 」とするも、歌への情熱は燃え上がるばかりであった。
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四国大会や全国大会のレベルに「 愕然 」としながらも
燃え上がる情熱は、「 歌の勉強がしたい 」と言う方向に向かいつつありました。
謎の転校生は、あんなに歌が素敵に歌えるのに、
音楽の道に進みたいとは思っていませんでした。
彼は至って冷静で、燃え上がる僕とは真逆でした。
ある日、友達からリサイタルの誘いがありました。
その友達のお母さんの教え子が徳島凱旋「 バリトンリサイタル 」をやるので行かないかと。
目の前で触れる、本物のバリトンに、すっかり心を奪われてしまいました。
当然、【 謎の転校生 】も一緒に聴きに行ってますので、
二人で感想を言い合ったり、どうしたらああなれるのかを真剣に考えました。
中三で、受験を3~4ヶ月後に控えた時期に、「 音楽科のある高校に行きたいなぁ 」
…急に人生が動き始めました。
当然、親も担任の先生もこの時期の僕の方向転換にはうろたえ、
強力な包囲網を敷いて、僕に「 無謀な考え 」を諦めるように
説得の絨毯爆撃が始まりました。
確かに、急に燃え上がっただけで冷静さや具体性を欠いていたと反省して、
音大の赤本を買ったり、知っている音楽の先生には全員「 この声はものになりますか? 」
と聞いて回りました。当然、冷静な謎の転校生も同行してくれています。
合唱部の音楽の先生は元より、友達のお母さんの声楽家の先生、
さらには「謎の転校生」のいた中学校の音楽の先生のところへも伺いました。
その頃からでしょうか謎の転校生の心の中に「 ポッ 」と音楽の火が灯ったように感じました。
行った先々で、「 帰れソレントへ 」を二人で歌い評価を聴かせてもらいました。
「 可能性はあります。これからの頑張りがキーになりますね 」という返答でした。
「 これはイケる! 」僕は思いました。
ところが、県内には希望している様な高校はなく、香川県には2校有ることがわかりました。
隣の県ではありますが、家から「 汽車 」を併用しながら通うとなると、
片道2時間半以上かかります。
下宿するのも経済的に厳しいと言う判断は、中三でもできました。
僕は、音楽の高校ではなく普通科で音楽をやっていく決意を固めました。
僕には悪い条件でも、高校が香川県内となると「 謎の転校生 」にはピッタリでした。
元々彼の潜在意識の中に「 音楽家になれたら・・・」と言う希望はあったのでしょう。
僕と行動することで、それが顕在化して明確な「目標」となりえたのかなと思いました。
オーディションで、応募した本人より付き添いの方が合格することはよくあるようなので、
後日、振り返ってそれかもしれないなと思いました。
ずーっと後年、高松の彼の家にお邪魔して、このことを話したのですが
「 謎の転校生 」は、「 一緒の舟に乗ろうと言ったのに、乗らなかったな~? 」と
僕に言いました。
しかしながら僕は、「 きみに音楽をさせるために、運命が僕を遣わせたんじゃ~ 」
と彼に言い返しました。
少しずつの偶然の重なり合いと言うのは、人生に大きなきっかけを与えます。
【一】彼の親父の転勤
【ニ】思いがけないコンクール入賞
【三】僕の熱狂
【四】バリトンリサイタル
と偶然がうまく重なり合って、
彼を【 謎の転校生 】から【 名テノール歌手 】へと変えたのでした。
その後、【 謎の転校生 】は、香川の音楽高校に見事に合格、
学科は1番、実技42番と言う成績で滑り込みました。
卒業時は全て1番でしたので、かなり努力を重ねたんでしょう。
大学は、当然上野の目標の学校に入学です。
今は、K大学の教授となり、生徒の教育や自身の音楽活動もガンガンやっていて、
中三の時の目標を叶えています。
彼の凄いところは、中三で目標が決まってから、ずーっと毎日休みなく、
こつこつと練習をしていたことです。
学生時代、仲間が泊まり込みで飲み会をやるときにも必ず参加してました。
僕が心配して、「 毎日練習しなくていいの? 」と聴くと、
「 明日の分は昨日やってあるので心配しないで! 」と毎回必ず答えてました。
その度に、友達全員「 おおっ!さすが、健ちゃん大物! 」と感嘆して、
大拍手が起こったのを思い出します。
今は、【 謎の転校生 】から【 本物の声楽家 】となり、
ステキなテノールを聞かせてくれています。