本日のテーマ⇒【 謎の転校生 】
合唱にのめりこんだのは、謎の転校生が僕の中学校にやって来たことに始まります。
彼は高松市という、四国の玄関口、文化経済の中心地からやってきました。
「 聞いたこと無いくらい声がきれいだ 」との評判が聞こえてきます。
謎の転校生の声を聞いて、顧問の先生は「これはイケる!」と思ったらしく、
声のでる男子を何人か集めて、混声三部に挑戦することを決意したのです。
NHK全国学校音楽コンクールの徳島県予選突破という野望を!
合唱部は、これまで女声三部しかやっていませんでした。
謎の転校生以外は「 はぁ?合唱? 」って感じで、音楽室に集合したのを覚えています。
むさい男子だけを集めての特訓が始まり、謎の転校生の横に座った僕は、ぶっ飛びましたね。
レコードで聴くテノール歌手そのものでしたから。
「 高松おそるべし!謎の転校生侮れんな~ 」
演歌とか歌謡曲のうまい人は、身近にはいましたが、
あんなきれいな声で、響く声を聞いたことがなかったので、第一のカルチャーショックを受けました。
何日間か課題曲「 青空のすみっこ 」の男声パートを、むさい男子ばかりで練習しました。
今日は、本体に合流と聞いたときには、何だか緊張しましたが、
実際、可愛い子が沢山いたので、俄然張り切っちゃいました。
先生も、今までと全然違う僕たちに苦笑いです。
夏休み返上で練習を重ね、新学期に全校生徒の前で度胸をつけ、NHKのコンクールに臨みました。
その頃には、謎の転校生からも、レクチャーを受けみんな自信もついてきました。
コンクールで四国大会に進めるのは2校です。
毎年小松島中学が常勝で、入れ替わりでもう一校と言う図式だったようです。
うちの中学は県代表に選ばれたことがなかったと思います。
しかしながら、【 謎の転校生効果 】と【 混声は女声より有利との先生の戦略 】通り、
見事に代表になり四国大会に駒を進めます。
当然、小松島中学も選ばれました。
彼等の自由曲は、シューマン「 流浪の民 」という混声4部曲を演奏しました。
難易度の高い曲を楽々とこなしていたのには、第二のカルチャーショックをうけました。
当時、四国大会と全国大会はテープ審査だったような気がします。
四国大会をラジオにかじりつくようにして聞いていました。
愛媛県と香川県のレベルの高さには、三度目のカルチャーショック。
同じ中学生が演奏しているとはどうしても思えませんでした。
たしか自由曲は「春の岬にきて」が全国的に流行っていて、愛媛は2校とも同曲でした。
茫洋とした太平洋の海が目の前に広がるような、優雅でキラキラした演奏でした。
※春の岬に来て ⇒ http://page.freett.com/yatabe/harunomisaki.html
確か…愛媛2校が全国大会に進み、愛媛大附属中学が全国優勝だったと思います。
高校野球でいうと、いきなりPL学園と当たる様なものですから、たまったもんじゃありません。
しかし、隣の県の同じ中学生が「優勝」出来るなら、僕らも出来ないはずがない!
と勝手に勘違いしちゃった僕は、夢の実現を高校にかけたのでした。
(つづく).